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とても良い

千夏と千秋メイン回。双子だから同じ部分・異なる部分を見つけようとしてしまうけれど、その発想は双子ならそっくりな筈という思い込みが土台にある
でも双子だからそっくりだなんて、当たり前なわけがないんだよね。それが見えてくる丁寧な内容だったかな

千夏と千秋の道を考える上で、専科の存在はヒントになるね
里見を始めとした歌劇団トップはキラキラした存在。専科は里見達とは異なる雰囲気を持つけれど、里見達トップからも一目置かれている特別な存在
同じ歌劇団だけど、全く同じではない。異なる道に進んだ者達

千夏と千秋、紅華への夢を抱いた瞬間は同じで他の多くも同じ。だけど、あの瞬間に千秋(?)だけ前歯が欠けているように常に何もかもが同じとは限らない。そもそも別個の人間なのだから
その違いが明確に出てしまったのが紅華の合否判定。二人の間に蟠った哀しみは一緒に合格できなかったことではなく、違いが見えてしまったことへの哀しみなのかな

あの経験によって2人に違いが生じたのではなく、そもそも違いを持っていたというのが正しいのだろうね。
ジュリエットを選んだ千秋、選べなかった千夏。ミレイに話しかけられる千秋と話せない千夏
探せばもっと二人の違いは見えてくる。でも、それはズレているから違うのではなく、個性が有るから違う

一緒の合格、シンメトリーな部屋。それらは双子だからそうなるのではなく、ある意味足掻きだったのかもしれない。さらさが言うように2人は双子になろうとしていた
それが無理だと突き付けられたのが嫉妬であり喧嘩だったのだろうね。

準備も出来ないままに訪れた分かれ道に翻弄され苦しんだ千夏と千秋
でも、道が異なったとしても違うままではない。それこそ、組に所属する里見達と専科のミレイ達が同じ舞台を構成できるように
千夏と千秋も異なる道の先で頑張ってもう一度交われば、望む額縁は形作られるのかもしれないね



普通

恭也は貫之の学費問題を解決する目的の為に、執筆という手段を含む同人ゲーム作りを選んだ
でも、これに恭也が情熱を注いでしまった時点で、目的は夢のリメイクになり、手段もゲームの完成そのものになってしまったんだろうなぁ
だから貫之がどう考えているかなんて考慮できなかった

慣れないゲーム制作、得意分野と異なる方向性、そして恭也しかギャルゲーの何たるかを理解していなかった点
それらが合わさって、恭也だけが正解を知っているかのような状態で制作は進んでしまった。だから他の意見が有っても恭也の意見で捻じ伏せられる。恭也の意見だけが正解になってしまう

それは貫之の未来含め他の正解を押し潰してしまうものになってしまう。恭也が自分のヴィジョンに従って動いてしまったが故に、恭也と貫之は協同ではなく侵食になってしまった
突如辿り着いた未来。これは恭也の夢だけが叶った世界?ここで恭也は何を見るのだろうか?



普通

キースの家出理由は可愛らしいものかと勝手に思い込んでいただけにラストの展開には驚愕。
冗談では済まなそうな事態だけに、これは久々のシリアス展開に突入する感じだろうか?

カタリナとキースの会話シーンは印象的
カタリナへのジオルド接近に焦りを覚えつつ、弟として接する事しか出来ないキース。ジオルドやカタリナの心理に言及できないから当たり障りのない会話しかできない
夕日により明度の落ちる室内は想いを告げる時間切れが迫っている事を暗示しているかのようだったね

けれど、カタリナはキースの想いに気づく様子は全く無く。落ち込みの理由をお守りが負担になったと解釈してしまうのはどうなの……。まあ、これは母親のせいも有るけど
また、ジオルドの想いの深さを理解していない点も今後どう左右してくるのだろうか…



とても良い

今回は異種族やら大人と子供やらの大きな括りではなく、異なる素性を持つ相手の立場になり考える事で成長を促す、満足を得るというとても素直な話になっているね
それだけに見終わった後の気分が心地良い話

父に実力を見せたいとの翔太の主張はつまり、大人から見て納得の出来の品にしたいとの欲求が有るから。だから大人と認める滝谷に相談している
でも、大人に認められる出来の物をいきなり作るなんて無理な話。だから滝谷の助言はタリスマンの作り方ではなく、翔太に成長を促すもの
教科書どおりに作るだけでなく、教科書に無い部分、製作者の気持ちにも想像を働かせろという助言
これを受けて作られたタリスマンを父が褒めてくれたというのは、単純に贈り物が嬉しかったというだけでなく、そこに翔太の成長を感じられたからだろうね
また、父の反応を受けて、「もっと頑張らないと」と気張る翔太の姿は気持ちいいね

トールから見ればいつもしっかりしている小林がダウンする様子は否応なく不安になってしまうもの
看病が必要な小林の姿はまるで退化したかのように見え、滅んだ村や国を思い浮かべてしまう。それが小林にも当て嵌まると思ってしまう
一方でトールが不死の薬を求めない点には成長を感じられるね。不安で仕方なくても小林が嫌がる物は避けようと慮っている

でも、小林は文明社会に生きてるから薬を飲んで寝れば風邪くらい普通に治る。だからトールが入手した薬は完全に蛇足
けれど、不安で一杯なトールの心を癒やす為には小林による治療が必要。それは小林がトールの薬を飲む行為に繋がる
トールが見つけた薬は小林やトールの病を吹き飛ばすものになったようだね

置き去られた人形の持ち主を探すイルル。でも、探し方なんて交番に届けるとか、ネットに上げるとか遣り方は他にもある
でも、あのシーンにおいてはイルル自身が持ち主を探すという点が最も大事だったのだろうね。自分で見つけたいとのイルルの気持ちを尊重しているから、タケも小林も探す主体をイルルから奪おうとしない

イルルは自身の経験と人形の綺麗さから持ち主が望んで捨てたとは思わない。持ち主の立場になり、後悔があるのでは?と考える
大切な人形を捨てて、ずっと後悔しているイルルの言葉だからこそ、人形の持ち主に深く響き、一度捨てた人形にお帰りと言える
持ち主と一緒に涙を浮かべるイルルも大切な何かを拾い直せたかのようだったね

それはそれとして、男女の違いに全く気付け無いイルルに向き合うタケは色々と大変そうだ(笑)



良い

序盤からかのんや可可に協力的だけど、音楽科としての立場を優先していた千砂都。いわば壁を作っているとも感じられる状態だったのだけど、そこには幼い頃の約束も関わっていたようで、これは簡単にはメンバー入りしてくれなさそうだと感じてしまう

元々普通科と音楽科という壁が存在する学園が舞台の作品だったけど、今回は更に壁を感じさせる描写が見られたね
炎天下はかのん達の練習を阻む壁となるし、可可とすみれの間には反発する壁が見える。音楽科レッスン室の使用にも科としての壁を意識せざるを得ない
また、アイドルではない千砂都は一緒にランニング出来ない

でも、壁があれば分離された異なる世界かと言えばそんな事はないんだよね
南の島からやってきたサニパは別世界のスターに思える。また、すみれは旅行をバカンス扱いし皆で避暑を満喫するけど、神津島は本物の南国じゃなく同じ東京都
壁が有っても分離を意味しない場合もある

なら、大枠としてはアイドル活動に含まれるダンスを学ぶ千砂都もアイドルになれるかと思いきや、そうはならないようで
かのんと千砂都は目標を分け合った存在。だから壁で分離されたのではなく、分担したと言える。かのんがアイドル活動を頑張るなら、同じくらい千砂都もダンスを頑張るという話になるのだろうね

だからダンスに専念する為にあの退学届けが登場してしまうのだろうけど……
かのん達のダンスが千砂都に頼り切りになっているという点、歌詞の為に千砂都との関係性に悩むかのん
どうやら、かのんと千砂都にとって目標の分担とその為の行動を見直す機会になりそうだ



とても良い

前回のさらさの話と今回の薫の話を繋ぐ愛の不器用な言葉が印象的
さらさは花道を失っても、銀橋を目指す事が出来る。異なる道がある
なら、親子3代で紅華を目指す薫には果たして銀橋以外の道を選ぶ機会は何処まで有ったのだろうか?と気になってしまう

バス停やバスを中心に触れ合いを重ねていく薫と辻の様子は一つの青春写真のよう
二人は家族が自分の進む道で輝かしい功績を残している事でプレッシャーに晒され続けている
似た苦しみを持っているから、他人から判りにくい境遇を共有出来る。それが互いに惹かれていくきっかけとなる

けれど、白と黒の二人はオセロだから隣り合う事が本来難しい。同色の恋愛をしている内は隣に居られても、進路への向き合い方が異色なら隣に居られない
薫は母と祖母が居るから紅華を目指しているように見えて、彼女が目指すのは男役。母や祖母と違う道を志す彼女はその時点で自らの意思で道を選んでいると言える

空を彩り落ちる花火を人々は見上げる。でも、銀橋を目指す薫は綺麗な華を見上げる者になってはいけないんだよね。見上げられる人間になれるよう人々が空を見る間も努力し続けなければならない
それを理解した薫の道は揺らがない。祖母との会話では異なる道を示されてコーヒーは揺らいだが、自分の進む道をこれと決めた後は波が幾らぶつかってもまっすぐ伸びたまま

薫と辻の道は分かれた。だからって知らぬ他人になったわけではなく、薫は辻の活躍に涙を流すくらい想い入れを持ち続けていたし、辻だってあのようなメッセージを後に残した
二人は恋の道を選ばなかった。けれど、それぞれプロとして活躍する中で再び交わり、その想いが告げられる日がくればいいなと願ってしまうような、そんな素晴らしいラストだったね



普通

チームを上手く動かしてゲーム制作を進める恭也。ただ、その中で生じる恋愛問題への対処は何処か危うさが有るような……
彼はゲーム制作の夢をやり直す為に過去を過ごしているから、それに関わらない事象への関心が低いのだろうか……?

亜貴とも奈々子とも中途半端。おまけにそれを河瀬川に相談してしまう情けなさ
貫之は主人公が誰を選ぶべきか真剣に悩んでいたが、恭也はキャラの個性で分岐を選ぼうとした
今の恭也はゲーム完成へ向けチームを導く頼り甲斐の有るキャラに見える。けれど、彼の個性に含まれない役割においては何処まで正しい振る舞いが出来ているのかと不安を覚えてしまう



とても良い

家の事を考え見合いを始めたニコル。それが他者の為であるならそこに自分の意志はない
かといって、自分の意志を通そうとすれば反道徳的行為に手を染めねばならない。悩むニコルにとって自分の道を切り開こうとするフレイとの会話は良い刺激になったようで

父親もラファエルも序盤からニコルに対して本心を尊重するよう助言している
それでもニコルが見合いを進めるのは積極的に結婚したいのではなく、カタリナを諦める為の消極的な選択肢
だから見合い相手と話したい事すら思い浮かばない

フレイは進みたい道が明確に存在するから結婚を望まない。けれど、困難な道だから親に反対され、その圧力を覆せない
だからこそ、奔放なようで居て自分の力で道を切り開こうとしているカタリナに注目しているわけだね
カタリナは他者に道を選び取る力を与えている

象徴的なのがジンジャーだね
ツンケンした態度で周囲との軋轢が生じかけていたジンジャーに好印象を持っていた。ジンジャーの良い部分を理解していた
それはジンジャーの歩む道すら肯定するかのような言葉

互いを理解し合うフレイとニコルは良い見合いをしたように思える。花畑を互いの悩みを打ち明けながら並び歩く様子はお似合い
けれど、自分の心に正直になった二人は光の線によって立ち位置が区切られていたように、進みたい道は既に分かれている
だから結ばれることはないのだろうね

ソフィアから明かされる裏話はニコルが避けようと思っていた反道徳的行為を肯定する。自分に正直になり、家族も反対しないなら諦める理由なんて無い
まだお勧め小説を共有した程度の進展でも、諦めず自分の道を進むニコルの意志はとても尊いと言えるのだろうね



良い

小林は眠くなる理由を「同調圧力」なんて語っていたけど、本作の人間とドラゴンにおける関係を思うと、個人的には「相手に合わせたくなった」と表現したくなるな
そのくらい、今のドラゴン達は人間に寄り添った生活をしている

滝谷の一言から漫画を書き始めたファフニールは滝谷への対抗心を燃やす
でも、考えてみれば自分だけの財宝を漫画にする必要はないし、勝利条件を販売部数にする必要もない
ファフニールはとても自然に滝谷の常識に合わせて行動している

ルコアもファフニールに合わせて同人誌作り。ファフニールと違うのは自分に合わせたい相手がいる事だね
罠のように置かれた同人誌。一時は好奇心に負けて読みかけた翔太だけど、そこは合わせない。青少年として同調圧力には負けなかったようで(笑)
前回、一致点を見出した二人だけど、まだまだ合わない点は多そうだ

カンナとイルルは小林の傍でうたた寝。それは幼少期には得られなかった親への甘えの代替かな。子供は親の眠りに合わせたいと思うから傍で眠る
同様にエルマもトールも人間に合わせてよく眠るように。こちらはもう一つの理由として、様々な想いや物に満たされた事で退屈や静寂、そして眠りを楽しめるようになったというのもあるのだろうね

友達と一緒に幽霊探しのカンナ。幽霊よりも超常の存在であるカンナの参加動機は面白そうだから
その感覚を肯定するように幽霊探しの途中なのに、階段で遊んだりサッカーごっこをしたりと、とても子供を楽しんでいるね。

異音の正体は回転窓よりも幽霊よりも刺激的なものだったけど、カンナはそれを明かさない
キモかったというのも大きな理由だろうけど、大切な友達の常識にない遣り方をカンナは面白いと思わなかったからだろうね
次は宇宙人に興味を示すカンナはどんな面白くて退屈でそして満たされるような日常に出会うのかな?



良い

序盤から奇妙奇天烈な言動を披露していた平安名すみれ。コメディ要員に思われていた彼女だけど、実はは主役を目指し藻掻き苦しむ少女だったようで
その有り様が少し前まで歌えずに苦しんでいたかのんと被る構図は面白いね

一位を取らなければ下りなかった筈の活動許可。それが一位じゃなくても同好会を作れたのは、特別賞という成果を収めたから
目に見える成果は人から認められる根拠になる。逆に言えば成果に望ましいものが無かったり、成果そのものを上げられなければ自他共に認めれられない
これはすみれや以前のかのんに共通する点

ただ、かのんは歌えない成績がそのまま成果となっていたけど、すみれは歌もダンスも出来るのに、その成績が成果に繋がらない
すみれの前に立ち塞がったのは脇役の運命やかのんのカリスマ。見えない成績で計られるからすみれは納得できない
……まあ、その反抗が非常にコメディチックだから面白いのだけど

運命的な脇役のすみれ。人前で歌えなかったかのん
でも、かのんはそれを打ち破った。だから同じように苦しむすみれに必要な言葉が判る
かのんが差し出したセンターの条件と加入の対価はどちらも目に見えないもの。競えばセンターになれるとは限らないし、御守の効果なんてきっとない
でも、見えないなら未来も判らない。歌えないとの烙印を押されていたかのんが歌えたように、すみれが主役になれる日も来るかもしれない
今は夢が目の前になくても、すみれを誘う名刺が遂に差し出されたように、雨の日がずっと続かないように、夢に届く日が来るかもしれない
……それはそれとして、結局「ギャラクシー!」って何だったの?



とても良い

さらさが習った歌舞伎は先代を模倣し、昔の名優を現代に蘇らせる芸事
これが基本に在るさらさは紅華においてもその姿勢を保持したから、安藤からトップになれないと指摘されてしまった
現代も過去もさらさを呪い縛る「なれない」の言葉。言い換えればさらさ自身も変われていないとも取れる

名家一門としてのプレッシャー、実力差による劣等感、幸三郎に子が生まれたらという焦り。暁也が対峙していたのはそういった種類の重圧
暁也はそれに気付かない、もしくは気にしないフリをしている。全ては暁也の境遇に気付かず天真爛漫に稽古するさらさとの関係を変えないためだね

だからこそ、暁也の劣等感が最大になった瞬間の無邪気さを装った言葉により生じた諸々が残酷に映る
さらさが示した才能、そして暁也の言葉は周囲が変えないようにしていたものを容易に変えさせてしまった
この経験がさらさを縛り、変われなくさせてしまった

だというのにその不変の中心を成す歌舞伎が変化し続けていたというのは驚きの話
また、助六鑑賞を許した健だってあの頃から変わっているのだろうし、周囲を拒絶していた愛も今はさらさの友達になろうと奮闘している。何よりも俯きがちだった暁也はオドオドしない青年になった
変わらないと思われたものの全てが不変のままではないと判る

さらさの基本を成す歌舞伎や過去に関わったあれこれが不変でないなら、さらさも不変のままとは限らない
なら、次にさらさが目指すべきは紅華でトップを手に出来る自分だけの個性を手に入れる事
それが判ったなら今回の帰郷はさらさに良い影響を齎しそうだね



普通


とても良い

人間とドラゴンの力関係を、大人と子供、そして長い川を交えて描く巧みな構成に脱帽
人間は強大なドラゴンに勝りたいと思う。けれどドラゴンだって人間の影響で自身の在り方を変えることが有る。そうした果てに共生の道がある。
そういった部分が見える内容だったね

翔太はルコアに負けっぱなしだから認められていないと感じる。でも、小林やトールが言うように必ずしも勝ちが認められるという話に繋がるわけではない
ルコアが語るように翔太の何気ない一言が今のルコアにとって大切な居場所となっている。それだけで翔太はルコアに負けていないと言える

一方でルコアは自分が翔太より劣っているとは言わない。劣る勝るという関係性を持ち出さず、翔太の頑張りを取り上げて偉いと認めている
また、自分の弱みを正直に話し、翔太の迷いを受け止められる
二人は互いに心の居場所を提供することで共生の道を選べている

滝谷はファフニールを家から退かす為に四苦八苦。滝谷もファフニールもあの場所を譲りたくない
滝谷は力ではなく交渉によって対処しようとする。これは大人流の遣り方だね
翔太に契約の話を教わっても、それを実行すること無く、むしろ貰った魔力の玉を対価にファフニールの真意を聞き出すことを優先している

トールを始めとして人間のように大人・子供として振る舞うドラゴン達。それを愚かしい人間ごっこと唾棄するファフニールも結局は人のようにゲームをしている
興味に負けて滝谷の隣を選んだ彼は人間とドラゴンの力関係を廃すゲームによってケリをつけようとする。これは大人の遣り方であり、同時に子供らしさに溢れたもの
二人は同じレベルで共生している

大きくて長い川。けれど話を聞いてみれば昔の人間が川の流れを変えたという。それは無力な人間でも川に負けておらず、また川との共生が出来る事を示しているかのよう
自分は変われるかと気にするカンナは小さな嘘によってエルマを守った。それはドラゴンと人間の力関係によって場所を手にするのではなく、対等な言葉を用いて共生を選んだかのようだったね



良い

第一話でかのんは歌えたし、第二話でも歌を取り戻しているように見えた。でも、第三話にして再び巻き起こる歌えない問題
この展開にする事でかのんは何の為に、誰の為に歌うのかという点がクローズアップされ、クライマックスに気持ちよく繋がるようになっているね

第一話でかのんが歌えた時は内面的な変化があり、そしてかのん自身も理由を理解できているわけではないから、今回は様々なアプローチで歌への挑戦が為されているね。でも、かなり迷走している
では、迷走状態でも何故続けるかといえば、可可が「かのんは絶対に歌える」と信じているからだね

可可はかのんの為にフェスでは一人で歌うなんて提案するけど、それはフェスの後なら歌えるだろうという信頼が有るから。また、ユニット名も二人の名前を合わせたもの。可可はかのんが歌えるようになると欠片も疑っていない
それだけの信頼を寄せるのは可可の中でかのんがサニパと同じくらいのスターだから

一方でこうしてかのんを信じてくれる可可だって一種のスター。彼女が信じてくれるからかのんも自分を諦めないでいられる
でも、かのんが緊張で一杯だったように可可だって緊張に負けないよう踏ん張っていた。自分を引っ張り上げてくれた可可にだって引っ張り上げる手は必要
それを理解できたかのんは「独りじゃない」

かのんにとって可可はファンでスター。可可にとってかのんはスターでファン。そんな二人を包み込む満開の光
それは最早結果を求めるステージではないのだろうね。結局、一位は取れなかった。でも、約束を果たすと共に自分を信じてくれた可可という最高のファンの為にかのんは最高のスターになれた
かのんが歌を取り戻しアイドルとなっていく物語としては最高の序幕だったね



普通

お金を稼ぎたいからってゲーム制作って果たしてどうなのだろう……?どうにも今回ばかりは悪手のように思えてしまうけれど
ただ、未来でプラチナ世代はゲーム制作に関わっているようだから、 必ずしも間違っているとも言えないのか…?

今回は表面的には解決に向かっているけれど、実態は何だか袋小路に入り込んでいないか?と危惧するような描写が多かった気が
今回の騒動の始まりは貫之の個人的な問題に首を突っ込んだ事から始まる。本来は他者の学費工面なんて解決するものではない。でも、後悔やピンチを否定する恭也は貫之の境遇も何とかしなければ、と考える。でも、それは大きな間違いであるように思えてしまう

加納は恭也の判断を「制作に関わるもの全てが勉強」「いい経験になる」と言うけれど、一方で以前に恭也の制作物を見た時のように良い評価はしていないんだよね
加納は言外に恭也の選択がどのような結果を導くことになるのか想定済み、というのは流石に穿った見方か

結局、ゲーム制作は仲間達に無理をさせ、河瀬川も巻き込むことになった。これは既にディレクションが破綻している証であるように思えてしまう。なのに河瀬川の心配に問題ないと答えてしまう危うさ
そんな状況でやってくる貫之の婚約者。これは事態の破綻度合いが更に増す事になりそうだ



良い

誕生日プレゼントをきっかけにさらさと呼べた愛は良かったね
最近のさらさと呼びたいのに呼べないもどかしさに悶々としている愛の様子にこちらまでもどかしくなってしまっていただけに
愛はプレゼントの形で親愛を表現した事で友達となれたという事か

本編では予科生には一足早い実技へ
今回は安藤だけをお客とするもので、本番には程遠いもの。けれども、ここで良い評価を貰えれば来年の予科生に反映されるかもという明確な結果も存在している
これらは実験を超えて、さらさ達に一種の試験として立ちはだかっているね

だからか、反応の違いから個性が見えてくるね
愛に遠慮して役を譲った千夏、上手く行かない苛つきからキツくなる薫、JPXの経験からアドバイスする愛
それらはこれからの彼女らの立ち位置が見えてくるようなものであり、言ってしまえば視聴者に向けて彼女らの個性が表現されているようなもの

同様に一夜にして演技力を豹変させたさらさには驚かされるね。空想の背景も相まって一人だけ纏う空気が違うとしか言い様がない
前回も先輩達の舞台を一回見ただけでセリフを暗記していたようだし、さらさは見て覚えるタイプなのかな。また、客席の想定も出来ているだけに既にかなりの実力を持っているのだと表現してくる

逆に言うと見た事がない、台本で渡されただけのものは表現出来ないのかな?それが安藤の発言に繋がってくる?
さらさは教師達が口を酸っぱくして『表現力』を訴える様子を再現したが、実はさらさにはそれが足りていない?
憑依か表現か、さらさの演技にとって大きな岐路となりそうな予感



普通

ジオルドからの求愛、卒業後の進路。これらが重なればカタリナはどうしてもこれからの自分の振る舞いを考えてしまう
そんなタイミングで描かれた今回の話は、変わりゆくものの中にも変わらないものがあるという点を明確に伝えてくるようで素敵なエピソードだったね

マリアに語る形で描かれる今回の回想。幼少期のカタリナ達の行動は子供らしさに溢れているけれど、どこか今の関係性に通じるものも見えるね。特にカタリナを巡って張り合うジオルドとキースの構図はこの頃から変わらなかったのかと思ってしまったり(笑)
他にも木登りするカタリナやアラン、妄想たくましいソフィア等々昔も今も変わらないなと思えてしまう

それでも今はもう幽霊や雷を怖がったりしない。そういった面からは成長という変化を感じさせ、その変化を共有しているカタリナ達はこれからも変わらない絆も共有して行くのだろうと思える
ただ、そうなってくると学園入学後に知り合ったマリアとの絆が薄いという事になりかねないのだけど、マリアとは昔から一緒だったよと言わんばかりの思い出の改良は良い演出だったね



とても良い

今回交流が描かれた二組は異なる文化圏に居る一方で共存のきっかけも持ち合わせていたように思う
そのきっかけをきちんと見定めたから異文化であっても対立したままで終わってしまうのではなく、共存の道を選び取れたのだろうね

トールとエルマは属している勢力も人間への見方も異なる。けど、人に奉られるエルマも滅ぼす前に相手を見定めるトールも勢力の中では変わり者
自分が属する文化においてズレている二人は異なる文化の相手なら対立しないとも取れる。だから人を見定めるという理由でひとまず共存できたのだろうね

そして、見定めが終わり道を違えたというのに二人は再び共存している
争いの世界から平和な街に移り住んだ事で対立軸がズレ、今は小林を巡って可愛らしく争っている。だから小林には「喧嘩するほど仲が良い」と受け止められてしまう。
これは交流が更なる異文化に呑み込まれた事で共存できるようになったと言えるのかもしれないね

人間のタケトとドラゴンのイルルはまさしく異文化。社会常識も大きく異なる二人は色々とズレすぎている。一方で駄菓子屋という場所や子供への愛着は同様に示しているように見える
タケトはバイトが変な奴だったら追い出してやると息巻いていたし、イルルは言わずもがな
だからタケトは子供を純粋に好むイルルの良さを理解できるし、イルルも子供を相手にするようにベーゴマを教えてくれるタケトを気に入る
異文化だけど、単純で明白な共通項が有るから二人はあっという間に共存してしまう

また、今回イルルを保護者として支えたトールや小林の存在は温かいものだね
思い返せばエルマが冷えないようにと火に薪をくべるトール人間の流儀で、トールの分まで願いを祈ったエルマも温かみに満ちている
共存の為には共通項が必要だけど、一方で温もりも必要となるのかもしれないね



良い

これは流石に恭也が悪い男ですよ。あれだけ奈々子の夢に真摯に協力しておいて、何の下心もないどころか、自分は亜貴とイイ感じになっていくとか流石に悪い男ですよ!
恭也も奈々子も本気へ向かって進んでいる。でも、自分の為の本気と他人の為の本気ではそこに込められた意味は大きく異なってくるのだからたちが悪い

恭也は10年前に叶わなかった夢のリメイクをしている。だから、その中で夢を諦めようとしている者にはどうしても手を差し伸べてしまう。恭也のリメイクは周囲への応援を含めている
でも、他の者は夢に初めて挑戦しているわけだから、恭也の応援の受け取り方が異なってくる。特にそれが顕著に出たのは奈々子になるのだろうね

シークレットゲストを奈々子が担当する奇策。チャンスが都合よく転がり込んでくるわけではないと知っている恭也はキツい挑戦であっても本気なら挑む必要があると判っている
けれど、奈々子にとってはキツかったとしても恭也が齎したチャンスこそ都合の良いものになる。ずっと応援してくれて、あの局面でも奈々子を信じ「大丈夫」なんて言ってくれる人間は都合が良いとしか言い様がない

奈々子と恭也には本気の意味が決定的に異なっている。だから「届けこの想い!」という言葉もどこか擦れ違う
また、裏では亜貴の本気も進行していた点がえげつない…。本気に向かって進むスピードと覚悟の違い。それが明確に出てしまったのがラストシーンということになるのだろうね…

それはそれとして、まさか”God knows…”を選曲するとは。制作側としてはこの曲を通してあの名シーンのオマージュをやりたかったんだろうか……?
それにしては色々と作品強度や深度が不足しているが為に、逆に物足りなさを覚えてしまったのは勿体なかったかな……



良い

前回辺りから不穏な事になっていた彩子
姉の言葉によって紅華への夢を応援された彩子だから、教師陣の言葉によって夢を否定されてしまい、それが自身の否定へ繋がって泥沼……
そこから抜け出すには言葉ではないもっと別の何かが必要になるのだろうね

彩子への対応で討論する教師二人の会話は面白い
心が弱くちゃやっていけないという橘は正論。彩子は繊細だと抗う小野寺も正論。でも、今の彩子にとって必要なのは正論ではないのだろうね。吐き癖を知る愛の助言も今の彩子に届きはしない
彩子が欲しいのは自分を肯定してくれる何か

だからこそ、得意な歌を否定するかのような咽頭炎は彼女の夢を決定的に否定してしまう
そのタイミングでの小野寺の叫びは良かったね。小野寺の言葉は彩子が欲しい言葉そのものではないけど、大切なことを思い出させるもの
紅華への夢を最初に語ったのは彩子自身だし、紅華へ受からせたのも彩子の歌。彩子を肯定するものは最初から彩子自身の中にあった

それを思い出せたから彩子は教室へ戻り、周囲を驚かせる歌唱力を披露する事ができたのだろうね
思えば、教師陣のきつい言葉も彩子が紅華に入れるだけの実力を備えた人間だと知っているからこその厳しさでも有ったのだろうな
彩子が本当にフィナーレを飾れるかは判らない。でも、判らないから諦める理由にはならない
良いラストだったね

先輩達の舞台を見て、紅華の輝きを改めて感じ、将来の自分を夢想する。その中で台詞を完全に飲み込んださらさはまだ曖昧な夢すらをその身に飲み込んだかのようだった
そして愛が前回見る事の叶わなかったさらさの横顔。助六を夢見た少女が何故紅華の世界に足を踏み入れたのか、それが憂いを含んだ表情や前回の言葉からほんの少し見えてきた気がするね



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