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全体
普通
映像
良い
キャラクター
良い
ストーリー
普通
音楽
良い

2023/02/28 Filmarksプレチケ再上映
ざっくり一言で感想をまとめると 「世界観の難易度設定を間違えてハードにしてしまった、コブ付きのファイナルファンタジー」 という感じ

あらゆる方面で良い作品ではあるのだが、どれもクオリティが高すぎるあまりに高級過ぎて気がひけるような感覚。
多分見るタイミングが違ってたらクリティカルヒットするたいぷ
自分の中でハードルを上げすぎていたのかもしれない…。

「長命種との人生体感差」「生命の誕生と死去」「無能な国王の没落」そして「戦争」とか、感情を揺さぶるモチーフの目白押しみたいになってますやんか!
P.A.Worksによる圧倒的な映像美でそんな怒涛の感情圧をされても「アッ大変ッスネ、ア、お疲れ様です!うわ~機械都市カッコいいすね!」ってなる。
そして横文字の用語が多いのにどれも頻発する訳ではないので「は、はァ……?」みたいなざっくりとした認識で終わる。レナト(竜)は結局なんで最後飛んだんだ。赤目病は何だったんだ。
要するに一つ一つの要素に対して見入るほどの余裕が無いまま次弾装填に入るので全てがピチャっと浅いまま終わるという…。

そして親子間の無償の愛、そして人生の擦れ違いを描いていながら、シナリオも勿論、音楽と演出も合わさって「ココで泣いてくれ~~!」っていうのが透けて見えてしまって…
見ていて「うわ、泣くかも…」という良い所で、露骨なまでの【創作感】みたいなものを感じてしまって急に冷めるというのを幾度となく味わった。

一番メインのストーリー設定も長命種×子育てという手垢の付いてそうなベタな感じ。
男性エルフのクリム(調べた)がという存在に対する理解をしないで執着ヤンデレ化したまま落命したのは唯一同情した。
女性や子孫への共感性が無い人間はイケメンでさえもストーカー化するし、結局全てが中途半端なまま死んでいく……

タイトルの「さよならの朝に約束の花をかざろう」も結局あんまり「さよならの朝」要素も「約束の花」要素もそんなになくて……、と
感想を書いている今改めて考えてみたら「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」もそんなにタイトル要素無かったことを思い出してきた。
いい感じの表題でエモ要素を醸し出すタイプのタイトル釣りじゃん。この時期はこういう長文タイトル映画流行ってたような気もする。

あの花を思い出したついでに言うとどことなくあの花の演出感もあった。
なので、過去に「あの花」を見ていた自分という人間は免疫というか抗体が出来ていたから、所々の演出を見て「うわ。」と感じてしまったのかもしれない。
人生初の岡田麿里作品がこれだったらちょっと泣けるのかもしれない。……いや普通に母親や父親みたいに子育てをしたことあったら泣くか。
寒さを感じるのは斜に構えて変にスレたオタクだけかもしれない。

あ、戦争シーンの終わり方はちょっと良かった。
レイリアは我が子と対面し、全てを捨てて、囚われる前に旧友の残した「飛べる」という言葉を信じて飛び越える。過去を出来事として1つの機(ハタ)として記憶のやつ……なんだっけ…アレ…に織り込まず、脳内で、風化していくように、忘れていく。
あの人生観には得も言われぬ叙情を感じた。

自らも子を成し、無償の愛を注いだ後に見るとまた感想も変わるかもしれない。
子を成すことを軽視しているオタクなのでそのうち何をも成せないまま落命しようと思います。



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