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「ありがとうって言われるのが好きなくせに心が無いとは何事だ!」そうこの洞察、感性こそ我々が物語を求める理由だ。
天沼矛は国生みの始まりを担った正真正銘の神器であり、夢の中、あの形態にせよ途轍もない所業である。日本神話モチーフと言えば草薙の剣が代表であり三種の神器すら他は名前が使われる程度なので、天沼矛を選びその事跡までも利用しているのは非常に面白い。

ウガルル召喚というのはマクロな意味での「町を守る」には関わらないのだが(ミカンが去ったとしても大局的には平和ではある)、それは桃の「シャミ子が笑顔になれるだけの ごくごく小さな街角だけど全力で守れたら」と同じように一人一人の為のミクロな「町を守る」ことにとっては一大事なのだ。「姉のやり方とちょっと似てきたよ」と言っている点からも、桜の「ついでにちょっとこの町を守ってみてよ」というのはきっとこういう意味なのだろう。
つまりこの作品はノリとしては日常系でありながら、またその日常を守る為のストーリーも備えているのであり、メタ日常系とも呼ぶことができる。
(ではウガルルのような者ではない、真に分かり合えない者と対峙せねばならなくなった時、それでも「日常系」として成立するのか。この点において、原作のもっと先の展開もまた最高に面白いのだ。)



ミカン編、エロゲのトラウマ解決的な流れだが具体的(?)な解決法があるのが面白いところ。



シャミ子修行の回。これまでの話数でも全体的に原作よりサブキャラの出番が増えているが、この回では特に良子を可愛く見せるカットが多く入っている印象。



(客観的に見ると)かなり小さい理由で闇落ちしてしまう桃。名誉の失墜が留まるところをしらない。
シャミ子が魔力放射を使いこなしているのを見ると(杖の力もあるかも知れないが)最初の練習からの上達振りが目覚ましい。



魔法少女の報酬システムを知るシャミ子。待ち合わせの桃が露骨に笑顔になっていてかわいい(原作では1コマ中にさりげなく描かれている)。



自ら配下と称したり(まぁ義理の眷属を誓ったし良いのか)お弁当を食べたいと言ったりガードが無いも同然となった桃。一方でシャミ子は「なにかが虚しい」などと寂しささえ自覚が覚束ない。
それでも「私は桜さんそのものにはなれないけど」いつかはそれほど親しい、大切な人になりたい? 自覚せざるところでは結構重めになっていく。「闇堕ち記念日ー!」



「今後 この子の顔をまともに見られなくなると思う」白澤の言に加えシャミ子の幼少期の苦難を知ってか、負い目と親愛の情が綯交ぜになっている桃。一期終盤のような警戒心は消え失せ、生き血すら躊躇なく差し出す勢いを見せる。
一方でシャミ子も宿敵という認識が桜のコアの件で揺らぐのだが、桃は新しい目標を語って笑う。「桃をニコニコ笑顔にすること」が不意に叶って、罪悪感とのギャップで泣いてしまうシャミ子。
「シャミ子が笑顔になれるだけの ごくごく小さな街角だけど全力で守れたら」これはシャミ子と同じ気持ちと捉えても良いが、文脈を踏まえると色々な含意がある。
「この町に固執する理由」がなくなる、即ちマクロな「町を守る」ことがどうでも良くなる、桃はこれを姉が見つかったからとしているが、弱くなってもいいという意味では姉の居場所がまだ分からない時点で生き血を差し出そうとしており、つまりはシャミ子の垣間見た「それより大事にしたいものができたから」の通りミクロなシャミ子のことが第一目標になった結果と解釈できる。
またそうすると「今は戻ったほうがいい」というのもシャミ子の思うような強さの問題ではないということになる。相変わらずやや擦れ違いながらも歩み寄っていく二人。



白澤の言葉を期に桃の意識改革が進む一方、シャミ子は(表層的には)宿敵と単純に考えている。しかし「いつもの桃」を求めているところに特別な感情の端緒を見出しても良いだろう。
シャミ子を助けに行きたいという桃は「わけわからない」と自分でも言っている訳だから、ここは意識していないにせよ恩返し以上の気持ちがあると解釈すべきか、それとも単に「助けられた」のは無意識下の記憶なため混乱していると見做すべきか。「効率が悪くても 根拠が希薄でも」「放っておきたくない」というのはつまり結果よりも姿勢の話だから、ここにそれ以上の特別な感情を見出すのはやりすぎの可能性が高いか。

原作p.97では「私 小さい頃の記憶 あまり無いので 見てみたいです」に対して「…わかった」となっているが、アニメでは「…」のところに僅かな相槌が入ることで、シャミ子への心配から来る躊躇いだけではなく境遇への思いやりが故に合意に至ったことが示唆されており、「…やっぱり やらせるべきじゃなかった」などの台詞とも共鳴して味のある表現になっている。



珍しくちゃんと変身する魔法少女達。白澤の声がおもろい。
「桃をニコニコ笑顔にすること」ついに最重要事項に昇格。



前回では「まぞくの務め」といった言い訳があったのが「どうしたら笑ってくれるのか知りたいから」と非常にストレートな心情に固まっていて味わい深い。「シャミ子のことがもっと知りたいから」もバイトのときの「これは違うな」の一件と似て、桃の奇妙な大胆さが良い。
原作にない部分でもフォローリクエストを仕官希望と解釈する良子や、小倉が(言動ではなく)尻尾からご先祖を認識するところ(急に去る小倉に対しては何かしらリアクションがあるべきだと思うが)が良い。



第1話と比べて演出がかなり丁寧になっていて、四コマ漫画のシンプルな演出をいい具合に膨らませていた印象。(というか第1話=原作3話分、第2話=原作2話分なので単純に詰め込み過ぎだったのか)

  • シャッフルクイズにかなり乗り気の清子
  • 顔色がやばすぎる二日酔い勢
  • 原作で描画の少ない小倉の佐田との挿話
  • 「もっとくわしくだ」のワクワク顔
  • 10年前の桃の優しい所作
  • なんとかの杖をシャーペンやスコップにするシャミ子(工場跡地で桃の要求に応えるラインナップだがつれない反応である)
  • 強そうな武器を調べる桃と良子(原作では台詞の無い1コマだけ)


テンポが速すぎるのか、間が取れていないと感じる部分がある。例えば「余は変なことを言ったか?」の後など。また冒頭がそれぞれのイメージ映像だと分かりにくいのとか(原作未読の場合は特に頭を使うのではないか)「それは楽しそうだね」が桃の台詞としてはかなり感情籠りすぎに聞こえるのとか、気になる演出が散見される。また「若者の会話とはこそばゆいの」の台詞は原作3巻p.31だが、文脈が省かれてほぼ意味がなくなっている。
単純に内容としてはこの辺りは浮かれフルーツポンチだった桃、疎外感を覚える桃、といった部分で関係値の高まりが見られ、他にも柑橘推しのミカン、目覚めかけるご先祖といったキャラクター性も出ていて良い。



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