Annictサポーターになると広告を非表示にできます。
とても良い

夾の事情が語られると同時に透に見せてこなかった闇が露わになる回
師匠と再会した際の夾の表情がとても明るく珍しい。師匠に心を許した証か

幼少の頃の夾は兎に角孤独。猫憑きとして白眼視され母親の対応も夾の求めたものではなかった。愛情が込められたように見える言葉も夾からすれば自分を恐れ隠そうとする言動
対して師匠は猫憑きを祖父に持つ人間だから猫憑きの辛さを少し判る。夾を受け入れられる。師匠のもとに居る夾は欲しかった家族を手に入れたように見える

けれど、終盤の独白から判るように夾が望んだものは一緒に悩み一緒に生きてくれる者。これは相手だけでなく、夾自身にも返ってくる。猫憑きを知っている師匠の元に居たのでは夾は自身と向き合うことが出来ないまま。これでは「共生」は出来ない
だから、師匠は透に懸けようと思ったのかもしれない

透は草摩の外の人間でとても家庭的な空気を持っている。透が居る家は穏やかであっても、自分の本性を知らない人間が居る家は夾にとって不安定なもの。
隠し事を知られたくないと思っている限り夾は透と共生することは出来ない。だからこそ、師匠は荒療治に出たのだろうね

本当の姿を晒してからの夾の言葉は痛ましい。見られたと傷付き、受け入れられないと恐れ、自分の言葉で自身を痛めつけ更に透すら傷つける
その有り様は透だってすぐに受け入れられるものではないし、どうすれば良いかも判らない。夾に「消えろ」と言われた後一度は帰ろうとする。それは自分が居ることで夾を傷つけてしまうと思ったからかもしれない
でも、透は判らないままに再び近づいていく。怖いと言いつつ、一緒に暮らしていきたいからもっと判りたいと訴える
きっとその姿勢こそが夾の求めたものなのかもしれないと思えた。師匠では猫憑きの辛さが判ってしまう。慊人は夾の姿を受け入れず気持ち悪いと吐き捨てる。母は夾の気持ちを考えることが出来なかった

このような透を前にして夾も心が変わっていく。透を守りたいと思ってしまう。
透が夾と暮らしたいと思うように夾も透と暮らしたいと想うようになる。そこに夾が求めた「共生」が生まれる

どうやったって手に入らないと思っていた暖かさを手にした夾の心情がとても感動的に描かれていて、見ているこちらまで暖かな気持ちになるね



Loading...