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評判になっていたのは知っていたのだけれど、今になってちょうど有料放送で観る機会があったので観た。
レビューにもなっていない只の感想ですが…。
ネットに上げられていた感想がなにやら歯切れが悪い物が多かった事に納得。
話の流れが登場人物達に容赦が無さすぎて居たたまれなくなる。心が揺さぶられることに間違いは無いのだけれど、モヤモヤが残る。
強い罪悪感とトコトン下がった自己評価を持つ因縁のある二人が不器用に寄り添おうとするお話。
主役二人のそれぞれの家庭の要なのが"祖母"の役割を持つ包容力がある女性。がしかし、片方の"祖母"に当たる人の喪失でその家庭のバランスが大きく崩れて死に傾いていく様子が歯痒かった。結弦ちゃん頑張ったのにね…。
そして、大概の人が、何れかの登場人物の立場になったことがあるであろうし(下手すると複数)、誰一人、曇りなく潔白な人物はおらず、見ている側も非難批判されている気分になるのではなかろうかと思う。重い…。
生きると言うのは、しんどい道のりで、共に歩いてくれる誰かがいると言うことだけで本当に素晴らしいよね…と自分自身の事を振り返って思った。
だがしかし。お話冒頭の担任教師、お前は許さん。あいつはダメだ。



良い

チセの右フックがキマッた回
一番印象的だったのは、朦朧としたチセが出会うネヴィンのセリフ
「君を導いているのは君自身」
ネヴィンとの出会いが確実に彼女の糧になっているのがよくわかる。
お話の流れとして、“自己犠牲”に高い価値を置いているのは分かるし、エリアスの選択がチセの信頼を裏切ってしまったというのも解るのだけれど。
私はエリアスの選択を醜いものだとして切り捨てることができない。
チセが前回に言っていたように「やれたからやった」のと同じようにエリアスも「出来るからやりたい」と考えてしまったのだろう。長い生の中で初めて出会えたと思えるかけがえのないものを失う恐怖から“悪魔の誘惑”に乗ったのだなぁ。
そして一度喪失を経験したルツもまた同じ。
かつては「その男死にかけてるじゃん。なんでかって?そりゃ、お前が傍にいるからでしょ」と言い放ったエリアスが、チセの死の影に怯え、チセを裏切ったことを詫び、嫉妬し。人間臭くなってきたな…。
チセから見れば、魔女の頭領の「自己犠牲による死」は眩しく尊い物に見えるだろう。
でもそれを見守っている事しか出来ない側の苦しみはどうなるのか。
自己犠牲こそが人間を人間足らしめる行動だ、と言うのがこのお話のメッセージのひとつなのではあろうけれども、それもまたひとつの傲慢かつ思い上がりだよな…と胸が苦しくなった。



とても良い

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 8話、観た。
過去へと遡る回だった。
少佐との交流の始まりは狼少女ジェーンさながら。
軍の中ではセンシティブ過ぎて偽善者呼ばわりされてしまう少佐と、兵士としてしか役に立てない少女。
思い出を遡るにつれ、現実世界の彼女の周りはどんどん色を無くしていくのに、少佐との思い出は鮮やかな彩り。
遂には小川(境界線)を越えて色褪せた思い出の館へ。認めなければならない所まで。
1話の少佐の苦悶の表情の意味をやっとうかがい知ることができた。
只、少佐は実はヴァイオレットの瞳の色こそ美しいと思っていたのではないのか。戦う彼女の瞳を美しいと一瞬でも思っちゃったのではないか。だから「(美しいものが欲しいなら)君の瞳の色でなくていいのか」訊いたのではないか。
感謝の品を送りつつ、感謝されて泣きそうな顔の少佐。お互いがお互いの瞳を覗き込んで「相手の瞳こそが美しい」と思っていたのではないかと。
8話を見て、今度は1話をもう一度観てみた。
回想から目覚めた彼女は、まるで白い棺の中に収められた、瞳が美しい真っ白なお人形のように見えた。 今となればその時の彼女が「愛してる」の言葉を抱き締めているのが解る。
目が覚める様な感動があった。



とても良い

グランクレスト戦記 7、8、9話。感想、まとめ。
テオとシルーカ、アレクシスとマリーネ。どちらも理想を夢見てそれに寄り添った男女のカップル。未だ夢みる白い公子アレクシス。
ヴィダールもまた"正しさ"を盾に汚れようとせず潔白なままでいようとする。
それに対して苛烈な決意で力を以て平定を目指すマリーネ。アウベストも堅固な意志で付き従う。
瘴気を発生させたとき流した涙と血はそのままマリーネの流した涙と破瓜の血と対なのではないのか。
しかし、強い力を受け入れた、と受け止めるのか、黒い物に汚された、と感じてしまうのか。彼女がこれから揺れてしまう場面もありそうで残酷だと感じた。
更に、"漆黒の公女"タイトルバックは彼女がアレクシスと初めて出会った橋の石。アレクシスが美しいと見とれていた物だ。なんて残酷。
みんなアレクシスが悪い…。多分。



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