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とても良い

不吉な予感を呼び起こす副題を目にすると、次の年の秋を見られるか気にするチセも素直な気持ちでは見られません。少しイヤですね、心配です。
それはそれとして「ユール」、キリスト教以前からの冬至のお祝いの事のようです。双子の言っていた「ユール・ログ」とは大きな薪の事で魔力が宿るとされているそう。ブッシュ・ド・ノエルにその名残りがあるそうですよ。‬
これまでエリアスとチセを見守る大人たち、という関係性の中で物語は進行してきましたが、今回はチセに初めて友人ができた回でした。アリス・チセ共に恐らく人生で最初に得た正しい意味での友人であり、それに対する喜びや戸惑いが出ているように感じました。
先ずアリスですが、心の奥にしまっておくような話をいきなりしてしまう距離の詰め方の拙さや、いかに師匠と深く繋がっているのかを知らず知らずのうちに誇るような態度が、初めて友人ができた子供そのもののようでかわいらしいなと思いました。但し本人にも苦い思い出ですけど。
一方のチセは自分とエリアスとの間にそのような絆を結ぶ確たるエピソードが見つけられず少し嫉妬していたのでしょうか?何を言ったらいいのかわからず複雑な表情を浮かべていました。
それでもまた喜んで買い物へと連れ立つ様子と映された水鳥が、確かな友人関係の上の瑣末な気持ちに過ぎないと思わせてくれました。
エリアスの表情からは何も窺い知る事はできませんが、チセが女の子同士の秘密があることを告白した後の様子は自らの抱えるいくつかの秘密を思い浮かべているようにも見えて静かな葛藤を示唆しているようでした。
特に小鳥の使いの件はこれまでも再三描写されていることでもあり気になります。
明日のプレゼントを心待ちにクマのぬいぐるみを抱きしめて眠るところなど年相応の少女の振る舞いがチセの現在の幸せを物語っているようであり、一方でこれからその幸せが危機に襲われるのかもしれないという予感を呼び起こすものでもあって素直に喜ぶことはできなかったです。
カルタフィルスに灰の目、チセの体にエリアスの秘め事と不安要素が多くて心配になりますね。
でもそんな中「人間の先生」になんでも素直に聞けるようになったエリアスの様子はとても喜ばしいです。早くも2/3を終えた本編、2人には幸せの物語を紡いでもらいたいものです。



1話から印象付けられていたあきらの挫折が燻りだします。
石井を囲むはるか達の光景があきらの暗い記憶を呼び起こしてしまい、あまりに対称的なその光景にいたたまれずその場を離れるあきらに雨が降り注ぎ出します。ひと粒ひと粒質量を持つものとして描かれた雨粒があきらを物理的に打ちのめすのです。
美しいストライドで駆け抜ける姿はあきらのアイデンティティそのもので、その喪失は未だ感情として表に出すことすらできないほど深刻なものなのですね。療養期間中ずっと周囲は腫れ物に触るように接してきたのでしょうがそんな折に不意に触れた気まぐれのような優しさに縋っているように見えました。
「あなたのことが好きです」と伝えるあきらにいつもの上気した顔や興奮した様子は見られません。しかしそれが却って正己にとってみれば時が止まるほどに印象的な告白になっていて、どこか噛み合わない今後の行く末を想像させてくれました。
あきらと話すため乗り込んだ軽自動車で最初に映るのは後部座席の息子の荷物で、正己の背負った人生の重さがのしかかるようです。単純に喜べるような話ではないですよね、すごく共感できました。それでもすぐに2人の出来事について話そうとするあたり誠実な人だなと思います。
立ち寄った公園での散策をリードするのはあきらで、正己がふと立ち止まった敷石の一線を軽々と躊躇なく跳び越えて行ってしまいます。トリップした青春時代から「勇斗」の一言で引き戻してしまうのに「僕って言った!」の無邪気な笑顔で虜にしてしまう。
いいように翻弄される正己がうらやま気の毒ですね。



とても良い

ローダンセ教官、歩んできた人生に自信と誇りを持ち毅然と立つ大人。この人の存在が大きく作品の雰囲気を変えてくれたように思いました。
それまでの手紙とも言えない手紙をヴァイオレットは今ひとつ理解できず自分は悪くないとどこかで思っていたのかもしれません。
しかし彼女の長所を十分認めた上でのローダンセのキッパリとした否定で、初めて心から手紙とは何なのかと考え始めたのではないでしょうか。
でもここでもローダンセは彼女に答えを与えることはせずあくまで自立を促します。おそらく自身も葛藤しながら多くの実務をこなし、その上で多くの生徒を導いてきた経験がありありと窺える見事な態度だと思いました。
ヴァイオレットはルクリアと正対し彼女の心を見ます。嗚咽する彼女を前にヴァイオレットに僅かなハイライトが当たります。戦場を生き抜いてきた彼女の勘が(これが心なのかもしれない)と絶好の機を悟らせてくれたのかもしれません。
‪横たわる兄に手紙を渡すのに2度の言い直しを経て「…手紙です」と言ったときの態度はこれまでの彼女とは全く違います。‬
必死に思い悩んで掴みかけたそれが確信の持てるものではない、それでも懸命に言い切る姿は儚げで不安そうで、別人のようでした。
暗闇の中2人を照らす小さな灯し火のように、兄へと伝わったルクリアの気持ちがそれぞれの希望となり温もりとなったように思いました。戦いで傷ついた2人の心をルクリアの優しい心がそっと掬い上げてくれたのですね。
‪再びローダンセの前に立ったヴァイオレット。ブローチをつけてもらってもまだ戸惑っているようでここに至ってもあれが「手紙」だとは確信を持てていなかったのでしょう。‬
そして厳しいローダンセも本当は全員を卒業させたかった筈で、教え子の成長を前に見せる僅かな笑みが実に素敵でした。

ルクリアが涙をこぼすシーンで彼女に寄り添えなかったりするのは友人としては褒められたものではないのかもしれません。でも不器用な態度が兄妹の心を繋げたように、それこそがヴァイオレットの持ち味なのかもしれません。僕はその方が素敵だな、と思いました。
ルクリアが初めて時計塔に登ったとき、不意の風に攫われた帽子はもう戻りませんが、今の彼女はそれを守る智恵と力があります。お兄さんと2人手を離さずに生きて行ってほしいと心から思える美しいラストシーンでした。



とても良い

2人が出会う人々はいつも誰かと現れます。人か妖精かは問わずそれぞれの縁を伴ってそれぞれの関係を教えてくれているように感じます。親子、夫婦、師弟、兄妹、種を超えた関係、仕え見守る者同士。
‪1人で現れる人達もやはり誰かと繋がっていて、愛し愛され、許し許され生きていることを示しているようです。‬
シャノンとシャナハンの関係もあるべき場所に生きられない悲しさ空虚さを、そしてあるべき場所で生きる大切さを教えてくれていたように思います。
一度は命を手放しかけたチセを引き止めたのはエリアスとの出会いの時の言葉でした。淡く見えていた2人の縁の楔はあんなに早く打たれていたのかと、正直驚いてしまいました。飼い犬の首輪を引くようなそんなエリアスの言葉がチセの心に深く刻まれていたのですね。
「俯かなくていいよ 背筋を伸ばしてしっかり前を見るんだ」という言葉はエリアス自身が生きてきた姿勢そのものだったのかもしれません。
ティターニアへの宣言は彼の半生の惨めさや暗さを滲ませつつ、多くもなく濃くもなかったとしても温かく繋がった縁に支えられた毅然とした佇まいを思わせます。
灯りを守るシルキーも1人の寂しさを身に沁みて知っているだけに半ば怖さを抱いて家族の帰りを待ち望んでいたのでしょうね。そんな気持ちが痛いほどに伝わるだけに、みんなの帰還は胸締め付けられるほどの嬉しさでした。

毎回波乱があるようで静かに物語が進みますね。心穏やかに観られる実にいい作品です。少し心配していた2人の関係も今のところはやっぱり大丈夫みたいですね。とりあえずは安心して行く末を見守っていきたいです。



良い

車内に残された忘れ傘で早速の雨上がり演出。降りて行った女子高生との対比で並外れて美しく長い足が強調されて、本能に逆らえない性格も合わせるとなんとなく美しく駆けてゆく野生動物の姿を連想してしまいました。
今回は吉澤くんがアルバイト仲間として登場。ほぼ認識されてなかったようですが、これで晴れて名前まで覚えてもらって小さくとも偉大な一歩を踏み出しましたね。無駄だと思うけど。西田さんの吉澤問答では全否定されていたのが悲しいですね。
ところで西田さん大層かわいくないですか?

駆け出して痛めた足に落ち込む風でもなく、正己の運転姿を見て喜ぶ始末。もしかしたら出会うきっかけになった傷に親しみすら覚えているかもですね。スマホに表示された店長の文字をつつく恥ずかしいところが出ちゃうなんてキャラクターとはいえ乙女には気の毒な仕打ちだと思いました。
出会いのシーンをうろ覚えでも思い出しかけてくれた正己に告白する直前、惚けて上気した顔が少し映ってあいかわらずの野生ぶり。
慎重そうな正己との対比が明確で簡単に進みそうにない恋模様が予感されます。
診察室からピンクのガーベラが飛んでましたけど、花言葉は「熱愛、崇高美、童心にかえる」だそうです。

今回のファミレスネタ帳。
炊飯ジャーがたくさん並んでましたけど、確か20年くらい前にデニーズで初めて見ました。炊きたてのご飯を出し続ける工夫です。それ以前はファミレスでも4升、5升の大釜で炊いてました。ずいぶんこれでおいしくなったんですよ。
あと欠員が出た時に限って忙しくなる飲食店あるある。経験した方ならすごく共感できるポイントです。それから加瀬さんがお尻でドア閉めるとことか、学生バイトがバックヤードで雑談始めちゃうところとか。細かいですね。
今他の方の感想見て思い出しましたが、他店の陳列見ちゃうのは店長あるあるですね。店員の動きとかもつい目で追っちゃうんですよね。結婚前の妻の人にずいぶん嫌がられました。



とても良い

‪「やきそば、わし、食うよ?」で初めてのコメディタッチ。よかったですね。‬

‪初仕事に取りかかるヴァイオレット。彼女に自らの影を見たエリカはヴァイオレットの一見酷い顧客対応に希望を見たのですね。アレって実はみんなやりたいけどできないことでもあります。‬
‪初めての代筆を何故エリカがチェックしなかったのか最初わからなかったのですが、ヴァイオレットが何を書くのか純粋に興味があったのかもしれませんね。エリカが将来的に小説家になりたい人だとしたら人間ヴァイオレットに興味津々なのかもです。‬

‪カトレアが喫茶店で言葉の裏表について語ったときカトレアの顔にだけ光が当たりその後ろの画面ほとんどが暗い。裏の部分がいかに多いか物語っています。直後に映るヴァイオレットの顔の陰の側、一見率直な彼女にも裏の気持ちがある事を示唆していました。‬
カトレアの「相手を試すことで自分の存在を確認するの。裏腹よね」という一言がエリカへの「裏腹です」に繋がり、言葉にそして感情に裏と表がある事を目の当たりにしたヴァイオレット。そして少佐のこと以外で初めて彼女の感情の変化を促した仕事上での失敗。
でもその気持ちはやはり少佐へと繋がっていて、こうして少しずつ自分の感情に気づき、そして取り戻してゆくのだなと思いました。川縁で掴んだ胸元の空の手に最後に戻ってきたブローチ。穏やかな表情を浮かべたヴァイオレットは少佐に問いかけていたのか報告していたのか、温かい気持ちが湧いてきます。

最後に。クラウディアに「やめて!お願いごめんなさい…」と言わせたり、顧客対応に余裕を見せるカトレアですが、ヴァイオレットには一瞬感じた苛立ちを隠すように飲み込んで笑顔に変えています。この余裕がなくなった時の感情の爆発が楽しみです。エロいですね。



良い

ゆるキャン△3話。経験豊かなソロキャンパーでアクティブなはずのりんより、なでしこの方がむしろキャンプを引っ張って行く。りんは大自然を満喫するというより引きこもりに行っていたのかな、と思いました。鍋で温まる体温と2人の関係が可愛くて微笑ましい、そんな気持ちになる良回でした。



とても良い

‪妖精の塗り薬によって待ち望んだ邂逅を果たしたジョエルは満たされた気持ちで消え去っていきました。‬
一方塗り薬の力で愛を知ることができたリャナン・シーでしたが、彼が霞となって消え去ってしまったのもその副作用だったのかもしれません。瞬く間に失われてゆくジョエルを目の当たりにした彼女が果たして幸せだったのか…と考えてしまいます。
そしてジョエルはその最期の時に「きっと君のそばにも行く」と深い愛を贈りましたが、それは寿命の無いリャナン・シーを永劫にバラの庭へと縛り付ける呪縛にもなっています。
一瞬の出会いから互いに深い愛情を持ち静かに過ごしてきた2人が、その別れにおいてはエゴをぶつけ合っているようにも取れるのは寓話的に思えます。

これはチセとエリアスの行く末に待ち受ける運命でもあります。愛とは何か、エゴとは何か、恐らく近い将来に待ち受ける永遠の別れ、残された者のその先…。
チセが単純に悲しみだと思えないのは漠然とそれらを感じていたからではないでしょうか。
冒頭で狐の姿になって駆け出すチセでしたがその毛皮は「人の望みを叶えるもの」。チセが心の底で望んでいるのは自分の心赴くまま走り続けることだったのか、それとも行き着きたい場所があったのか。その辺りを考えると一見順調な2人の関係にも重い影が差してきたように感じます。

今回リャナン・シーは隣人(妖精)と人間の間にも色々な障害はありつつも愛は成立するという事実を提示しました。
しかしそれがチセとエリアスの関係にも適用できるのかと考えると何か足りないピースがあるように思えます。少なくともあれだけの疲弊を伴う魔法薬の作成を許したエリアスと、ジョエルの臨終に錯乱しチセの元に駆けつけたリャナン・シーが同じ位置に立っているようには思えませんでした。
僕はエリアスの足りない部分を補うのはチセという存在、もしくは彼女のもたらす何かというように考えていたのですが、それでは埋めきれない決定的に欠落したものがあるように感じます。

温かい情を育んできた2人がそのまま幸せになるのではないかと思わせる12話から大きな揺らぎを見せる後半を予感させた今回。チセの生命というなおざりになってきた問題がクローズアップされ事態は混沌としてきたようです。
秀逸な構成に圧倒されながらこの先が気になって仕方ありませんでした。



とても良い

若い頃にファミレスの店長を数年やっていたこともあって細かい描写・演出に共感を感じる内容でした。
先ずはバックヤード。物の配置などは直接取材したところのトレースなんでしょうが、例えば目隠しの為なのに出口の暖簾がめくってあったり厨房スタッフの制服(特にバイト君の方)が汚れていたりするところはリアリティがあります。
それからオペレーションがすごく本物っぽくて、アイドルタイムになると休憩を回す傍で店長がゴミをまとめる、入り口案内担当の子は決まっていて料理を運ぶのはあきら、仕分けはパートの女性と役割がきちんと決まっている、料理を運びに出ると一回りしながらテーブルチェックをするetc.…(よく見てるなあ)と、感心しました。
特にテーブルチェックのところはあきらの教えられたことをきちんと守る生真面目な性格と新人(ですよね?)特有の忠実さが出ていていい演出だなあ、と思います。

あきらについてはそれ以外にも細かい演出で分厚い説明がされていたと感じました。
アバンの下校シーンで1つ壊れたハードルが置き去りにされる、駆け出したのに立ち止まり足を気にしてるタイミングで画面上方の陸上部のメンバーが追い越して行く、その後の投げ入れたゴミが外れたときはるかが投げたものは入る、などで彼女の未だ癒えない喪失感がよくわかりますし、学校一のイケメンに気づいていなかったり毎日同じ賄いを食べているところからは一途にのめり込む性格が伝わってきます。
それから最初の陽気に誘われほぼ一日中していたのであろう居眠りからわかる、彼女の快楽に逆らえない直情的な本性がシャツの匂いを嗅ぐシーンに繋がっておおーっとなってしまいました。
店長・正己も同様でクレーム対応でねじ込んだはずの厨房のバイト君に気弱になったり、うんざりするほど延々と繰り返されてきたであろうアルバイトへの対応がつい雑になったりするところは思わずウンウンと頷いてしまいました。わかるよ、わかる。

回想シーンの、病院帰りで落ち込んだあきらへ手品を披露するくだりからの「きっとすぐ止みますよ」という正己の一言が、その後の雨上がりでの恋心の微かな芽生えにつながって、うまい演出であるとともにテーマを明確に説明するよくできた初回だったなと思います。



『からかい上手の高木さん』。高木さんの造形が本当にかわいくてふんわりしたテンポも気持ち良かった。からかい方が思ったよりシンプルで西片くんがちょっとバカっぽく見えてしまったけど1話だからかな。
でもとっても丁寧だし2話以後期待してしまう。



良い

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。厳しい意見を幾つか拝読してからの視聴だったのでドキドキしましたが僕は悪い印象持たずに観れました。
大きな引き込みは無いかもしれませんが慎重に組み立てられた演出や世界観が細かな印象を積み上げて、物語の行き先に興味を抱かせてくれていたと思います。
多くの難題を抱えて希望すら持てない状況の主人公ですが、一方で(戦争の傷跡が色濃いとはいえ)街には人が溢れ新鮮な食料が山と積まれ女性達はお洒落をし人々の目は未来を向いていました。
物語の先行きの明るさが垣間見えましたし、ヴァイオレット自身もとりあえずの道筋がついてのラストでした。
愛を知る物語、という事でしょうが、それは一方で彼女が今までしてきた事を受け止めなくてはならないという事でしょうから、その点の葛藤は重く険しいものになるんでしょうね…。どのような形で語られてゆくのか楽しみです。
僕としてはかなり好きなタイプな予感がするので次回が待ち遠しいです。



とても良い

不穏な幕開け。暴れる黒竜のような姿はやはりエリアスでしょうか。枯れた木々の間を歩く姿や雲母のような欠片を撒き散らしながら滑空する様は傷ついて弱っているようにも見えました。チセのきっぱりと決別するような表情も気になります。

本編は前半をそのまま引き継ぎ長閑な風景の中でのスタートでした。相変わらず背景が美しいですね。花の名前はあまり詳しくありませんが知ってる方なら品種も特定できるでしょう。少し映った小鳥はイングランドらしくクロウタドリの幼鳥かなあ?
それにしても「私はおいしそうでしたか?」「やっぱり君を買ってよかった」等、信じられないような斜め上の会話を交わしていますがこの2人にとっては平常運転なのですね。『ベルセルク』のファルネーゼじゃありませんが「…私に合わせて歪んでいるから」的な哀しく切ない愛情を感じます。
極めつけはエリアスの「チセのことは信じるよ、僕の弟子だからね」で、呆れますよね普通。最高の決め所だったのにこの台詞でガックリ、かと思いきやチセも喜んでしまうあたり適性を感じずにはいられません。

チセがピンチに陥る時にはいつもエリアスがうっかりそばにいなくて、ということが続いていますが、エリアスが頑丈なこともあり危機に鈍感ということは言えそうです。それに大抵はエリアス自身何とかできる自信があるんでしょうね。ですので灰の目の行動もそんな大ごとにはならないんだろうな、と信じたいところです。

それにしても種崎さんの僅かな間を生かす演技は本当に感心します。素晴らしいでよね。



とても良い

まほ嫁8話。戦闘の直前に双方止めに入るあたりが夫婦芸みたいでよかった。チセが危うかった自身の行動に動揺し謝る姿にそっと頭に手をやり宥め頬(?)を寄せる、それを受け入れる様に関係の進展が見て取れました。その辺だいぶ自然になってきましたね。やはり2人の関係性がこの物語の主軸です。



良い

まほ嫁7話。エリアスに対する想いが整理できず逡巡するチセが未だ恋を知らない少女らしくてかわいいですね。一方のエリアスの方が傷ついたチセに迷わず駆け寄る辺り徐々に心奪われつつある様子に見えました。
怪物の襲撃に「油断してた」というチセの一言が過酷な半生を想像させて苦しくなります。



良い

まほ嫁6話。エリアスの怯えを覗き心を寄せるチセ。
また一方で魔法使い、魔術師、精霊や妖精、教会など相容れない複数の勢力がある程度の均衡を保ちつつ並立する世界が明示された回でした。そんな中些か「分かり易すぎる」悪としてカルタフィルスが登場しているのは気になります。



良い

まほ嫁5話。君がいないと寂しいんだ…。愛する人に対する仕打ちを悔いるでもなくマシューは自分の気持ちを吐露しました。チセは愛と我欲の狭間で業の深さを感じ涙を流したのかもしれません。チセもまたエリアスを止まり木と思い主体は自分のままです。未だ遠い2人の関係を連想させます。



良い

まほ嫁4話。己の力への不安、母たる存在に呼び起こされる記憶、望んでいた死-を希求する存在、姿を見せた魔術師。チセは大きく戸惑い揺れていました。エリアスとケガレの音の相似、またケガレの纏う猫の声も気になります。
希望を抱き始めたチセが直面する死、表情から気持ちを窺うのは困難でした。



とても良い

まほ嫁3話。チセは両親から何も受け継がず自分もまた誰かに渡すものが無いと感じているのかな。そんな輪廻や循環の外にいるような疎外感を感じているようでした。彼女はいつも光を見つめていて自分自身は常にその外にある。ネヴィンの心のシーンでも直前で離れてしまうシーンが印象的でした。



良い

まほ嫁2話。温もりに飢えているのに自ら踏み込むことはできないチセ。そこに構わずに穏やかに親愛の情を示す大人達の関わり方が心地よかった。「世界の美しさ」の一端なのだと思う。
シルキーが用意した服は髪や肌の色に合わせてあって眠るチセにこっそり当てている情景が浮かんだ。
好感触の序盤。



良い

魔法使いの嫁1話。辛い境遇を生きてきたのにすぐに人を信じてしまうチセ、流されやすい性格に共感を感じてしまいました。埋められない寂しさから求められることに抗えないの性格なのかもしれない。
出てた料理はニシンのパイかな。それ以外も英国感全開のメニューだったけどとってもおいしそう。



とても良い

第1クールの締めくくり。
前回杖をコツコツと仕上げながら自らと語り合った末に仕上がったそれの力を借り遂にチセは真正面から自分と向き合います。
心のうちにこもり自分だけを責めるのは、言いかえれば自分の世界に他者の存在を承認しない冷たい態度でもあります。ネヴィンの言う彼女に救われたあの人この人にしてきた事は全て「施し」になってしまい、チセに気持ちを寄せることを拒絶してしまうことと同じです。
彼女のいう「欲張り」は人の温もりを求める自然な欲求であって、それを引き出したのは多くの優しい「大人」達と何よりエリアスの愛情に他ならず、これまでの長い道のりを思うと感動が胸に押し寄せてきてつい涙がこぼれてしまいました。
チセはこれから自分を認め、赦し、愛するという永遠のテーマとも言える道を歩き出すのですね。その道を導くのではなく、共に歩いてくれるエリアスがいてくれることは大きな幸いだと思います。
火の鳥に姿を変え懸命にエリアスの元に帰るチセ、愛情たっぷりに受け止めるエリアス、駆けつける救護班の2人()のくだりで、こんなにも温かく優しい世界に生きていることに我が事のように喜びを感じてしまいました。
杖の美しい夕陽の色はチセの色であると同時に母親の色でもあります。母親に拒絶されたと傷ついていた彼女に、両親から無条件に愛された記憶が残っていたことは大切な福音でした。

壮麗な画面に彩られながらも終始誰にでもあるような身近なテーマを追い続けてきた本作、これからも丁寧に語られていくことを楽しみにしたいと思います。
冒頭でエリアスの言った「2つの感覚」のひとつはチセを求める気持ちなのでしょうが、もうひとつがおそらくエリアスが向き合わなくてはならないものなのだと思います。
この辺を軸にこれから進められていくのかもしれませんね。後半がとても楽しみな締めくくりでした。



良い

『魔法使いの嫁』11話。リンデルのいう「エリアスから抜け落ちた何か」を埋めるのがチセなのですね。チセの思慕に対してエリアスのそれは渇望に近いように見えました。小鳥はエリアスが…ということですかね。育まれてきた関係に変化がありそうです。2話続けてなかむらさんコンテ。美しい俯瞰でした。

エリアスのチセに対する告白、これまでの道のりを思いつい涙が出て出てしまいましたがエリアス自身はまだその感情を愛だとは理解していないんだろうな、とは思います。ひどく戸惑っている感じでした。



良い

初めてアバンの入った回。
エリアスの元から初めて離れるチセでしたが、2人の不安や心配が繰り返し描写されていて、前話でグッと歩み寄ったことからの寂しさが強く印象付けられていました。
チセ・エリアス共に自分のことを語るシーンがありましたが、いずれも会話の相手ではなく炎を見つめているあたり正直に心の内を明かしているようには見えませんでした。

姿が小さくなっていることもありますが戸惑うリンデルの元から1人旅立とうとするエリアスの姿は、心を許しかけて拒まれた寂しい子供の姿のようで哀れでした。
とはいえラハブからかけられた言葉、与えられた名前とペンダントは彼の心に大きな意味を刻んだに違いありません。
そして、家の中に招き入れられるときに差し伸べられたラハブの手はエリアスに向けられた初めての温かい感情に見えましたし、そっと頭に添えられた名付け親の手はいつもチセにする仕草そのままでエリアスにとってとても大切な儀式だったのだなあ、と感慨深かったです。
ラハブ役は三石さんでしたが、落ち着きのある力強い優しさがしっとりと伝わってきて流石の演技でした。



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